メロディーの構造に迫る

f:id:bettychang:20180818051638p:plain

 

メロディーとはなんでしょうか。

主旋律、ともいわれるものですが何といわれるとよくわかりませんね。ひとついえるのはメロディーは現代の音楽の主役だということです。

なぜなら20世紀以降のポピュラー音楽の主役はずっと歌でしたし、歌の主役はやはりメロディーです。どんなにすごいギターソロを弾いてもいきいきしたグルーヴのアレンジを施しても、歌がだめならそれはだめです。

 

1920年代のブルースから現代のロックポップスまでそれはずっと普遍で、少なくとも主役級の存在であることはだれも否定できないでしょう。


そして主役なので音楽を学ぶ上で当然避けてとおるわけにはいかないわけですが、なぜか私の知る限り一般的な音楽理論ではほとんど触れられていないのが現状のようです。​なぜでしょう。

メロディーというものはごく一部の才能あるアーティストの感性によって紡ぎあげられるもので体系化できないからでしょうか。

 

私はそうは思いません。

体系化は難しいとしても良いメロディーには必ず良いと感じるだけの理由があります。このサイトではそういったメロディーの成り立ちや構造などを解き明かしていこうと思います。

というわけで今回はまず、古典的な曲をひとつ例にあげて考えていきましょう。

 

きらきら星

 

 

 

 

はい、こちらは「きらきら星」という有名な曲で、もともとフランスの童謡だったようです。この動画は昨日私が作ったバージョンです。というよりこの記事のために作ったものです。

ところで「きらきら星」なんていやだ、もっとかっこいい曲をやってくれ、と思いましたか?気持ちもわからないでもないですが、この曲はシンプルながらメロディーの基本構造が詰まっているので、ぜひ嫌がらずに見ていってもらいたいものです。

 

それにみなさんが好きな現代的な曲はそれなりに進化を遂げた音楽の歴史の上にあるもので、つまり構造が非常に複雑で教材としてはよくありません。​入門者にはあまりにも難しすぎるわけです。

ではいってみましょう。まず楽譜です。といっても五線譜の能力はほとんど必要ありません。私がかなでドレミを書きましたので。

 

f:id:bettychang:20180818051843j:plain

 

メロディーの大きな構造を把握する

コードは無視して大丈夫です。イントロも関係ないですね。

まず曲全体を見てみましょう。この曲は何小節でできているでしょうか。

答えは12小節です。1段が4小節で3回あるので4×3=12です。

これが1コーラスです。

1コーラスというのは1番の終わりまでをいいまして、曲の全体像がだいたいわかるので、曲の発注などで使われたりする言葉のようです。曲の募集で「応募の際のご提出いただく音源は1コーラスのみでけっこうです」のような感じです。どうでもいい話でした。

では楽譜に戻りますが、ところでこの曲のキーはCですね。

それでは、この曲を聴いていて気付くところはなにかありますか。構造上の特徴というようなものです。なにかないですか。

はい、1−4小節目と9−12小節目のメロディーが一緒なんです。

さらにいうと、5−6小節目と7−8小節目のメロディーも同じなんです。

まとめます。

 

f:id:bettychang:20180818051955j:plain

 

赤いフレーズと青いフレーズで構成されていることがおわかりいただけたでしょうか。

​仮に赤いほうをAといいます。青いほうはBです。

ところでなぜ繰り返すんでしょうか。作曲者の才能の枯渇でしょうか。そうではなく、人間は知っているフレーズを聴くと「あ、このフレーズ(知ってる)」となるからです。

なぜかはわかりません。そして知っているフレーズを聴くと不思議と気持ちがいいものです。

この繰り返す技法を「繰り返し」と名付けましょう。そのままですが。そして知っているというのは数秒前に聴いたフレーズでも発生します。これは結構重要な話です。

もう少し細かく見てみましょう。他に気付く点はありますか。

例えばフレーズA「どどそそららそ、ふぁふぁみみれれど」はフレーズBを挟んで最後にまた登場して曲が終わっていますね。

なんとなく主役っぽい感じがしますが、曲のメインというか、一番決まるところといいますか。

そんなAに対してフレーズBはなんとなく途中っぽいというか物語の中盤的な感じというかなんというかいまひとつ煮え切らない感じがありますか?

ところであなたがもし「きらきら星」の着メロを購入して、聴いてみたらフレーズBのほうの繰り返しだったらどうでしょう。ここじゃない!となることでしょう。

もしかすると怒ってクレームを入れるかもしれません。しかし、だからといってBを不必要なもののように思わないでください。Bは絶対に必要なんです。

 

なぜならBがあるから終わりのAが引き立つんです。それは映画の脇役のようなものです。あるいは怒涛のクライマックスの前に用意される周到な前振りです。そしてBを乗り越えて再び登場するA、「おお、最初のAだ(知ってる)」となるわけです。

 

f:id:bettychang:20180818052048j:plain

 

なぜBメロとわかるのか(パターン認識)

 

つまりこれはいわゆるAメロ、Bメロといったものです。

そしてこの曲の場合「サビ」をAメロが兼任している、と考えることもできます。古典的な曲ほどはこういうサビ兼任Aというフォーマットが多い気がします。

ビートルズなんかも結構このスタイルが多い気がするので、古典という言葉はちょっといいすぎかもしれませんが。

ところで、BメロはなぜBなんでしょうか。なにをいっているかわからないかもしれませんが、つまりなぜ私たちはBメロをBメロと認識するのでしょう。

それは人間の「パターン認識能力」のためです。

パータン認識とは、ある事象に対して一定の規則性を見出す能力のことで、人間は他の動物と比べこの能力が非常に高いんです。

 

突然ですが、ちょっとクイズをしましょう。

Q1. □に入る数字は何ですか

2,4,6,8,□

Q2.□に入る言葉を書いてください

レオナルド・□・ヴィンチ

どうでしょうか。

 

Q1は10ですね。2ずつ数字が上がっているのがわかるからです。

Q2はどうですか。「ダ」ですね。レオナルドとヴィンチとくればそれは間にダ、がくるだろうと私たちはこれまで得た知識からしっているからです。

そして音楽というものはそういった人間のパターン認識能力を元に組み立てられています。

きらきら星の構造でいうと、最初にメロディーAを聴いているので、2回目のAは既知のものとして感性に受け入れられるわけです。

そしてそう、BメロはなぜBなのか、という話でしたね。BメロとAメロの構造に注目してください。なにが違いますか。まずメロディーが違いますね。他にはなにかありますか。

 

そうです。繰り返すメロディーのパターンがAよりも短いんです。

 

Aが4小節ひとまとまりのフレーズであるのに対し、Bの方は2小節、これはAの半分です。

メロディーの違い、そしてフレーズがAの半分でありそれを繰り返すこと、そのことによって私たちはBメロを聴いた時に「あ、Bメロだ(なにか展開が変わったぞ)」と感じるわけです。

これはパターン認識です。

これはつまりAに対する対比ともいえます。ここで重要なことは、Bのフレーズが短いからBだと感じるわけではなく、Aとなんか違うからBだと感じる、ということです。つまりAとBの長さが逆でもいいわけです。良い曲になるかまではわかりませんが。

​というわけで、今回は以上です。

メロディーについての第一回目でしたが、いかがでしたでしょうか。以降もまた有名曲を元にメロディーの成り立ちについて考えていこうと思います。

ところで、音楽理論の情報などで「メロディーはコードの構成音を元に組み立てる」という考え方をたまに見かけるのですが、基本的にはその考えは間違いです。良いメロディーはメロディー固有でも成立するものであって、コードとの相関は「完成品を見た時に結果そういうパターンが見えてしまう」だけです。

少なくともメロディーをメロディーとして成立させている本質ではなく、関連はあっても(実際ある)コードトーンを適当に組み立てていけば歌のメロディーができる、ということはたぶんないです。あるいは人によるのかもしれませんが、これは理論の話なので「人による」というアプローチはかなりよくない話です。

しかし音楽というものは非常に複合的な要素が組み合わさってできているので、例えば楽器の演奏に長けていても曲は作らないような方が教える立場に立つことも当たり前にあるのかもしれません。なにがいいたいかわかりませんが。

それでは以上です。どうもありがとうございました。