ベースデュオ(レイ・ブラウン、NHOP、そしてロン・カーターの話)

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最近はSpotifyをやめたのでiTunes Matchを使って手持ちの音源を聴いてるのですが、ちょっとおもしろい演奏があるので紹介しようかなと思います。

左はジャズピアニストのオスカー・ピーターソンとレイ・ブラウン、NHOPが共演したものです。

どちらもオスカー・ピーターソントリオのベーシストだったので、なんか3人でやろうぜ的話だったんでしょうか。経緯とか全然知らないのですが。。

ベースがふたりなので、交互に弾いているんですがこれが結構おもしろいんですよ。

まったく違うタイプのベースなので。

右の硬くて速い方がNHOPで左の重たい低域の音がレイ・ブラウンでしょうね(そりゃそうか)。

おもしろいといっても、実はあんまり聴きやすい感じではないです。私もめったに聴かないというか、いつも最後まで聴けないんですが(ならなぜ紹介する)。

というのも、パンが振りすぎてる感があってね。

パンというのは定位のことで、ステレオ録音での音の出てくる位置のことなんですけど、ベースデュオだと左右に低域があまりに振りすぎていると聞きづらいのかな。安定感というか。

現代のたとえばロックの音なんかは大抵ベースが中央に配置されているのですが、昔のロックとかジャズなんかだとこういうアレンジ多くてですね。それはそれでおもしろいのですが。

でも、たぶんもっと楽器が多ければいいのかな。ちょっとわからないですが、センターのピアノとベースがあまりに離れすぎているのでイヤホンで聴くと離れた位置で弾いているというよりかは、茨城と神奈川あたりで同時演奏しているネットのセッションみたいな感覚を受けるんですよ。

でも定位は残念なんですが、音の違いとかすごくおもしろいですよ。

もしかしたらスマートスピーカーみたいなもので聴くともっと良いかもしれない。

NHOPのほうが音が硬くて高域(か中域か)寄りなのでラインとか聞き取りやすくて定位の違和感も少ないのでこの音源にはあってるかもしれないですね。

一方のレイ・ブラウンの音はものすごく深い低域のボディー・ブローといった感じなので、それがものすごい左から単発でくるとかなり辛い。

演奏はすごいのに。

とここまで書いたんですが、もしかしたらそういう問題よりもドラムレスにあまり合っていない2人なのかな。

なんか音域的に。バランス的に。

なんとなくデュオというよりも、トリオのつもりだったのにドラムが病欠してデュオになっちゃった感じを受けるんですよね。もうそれ完全にただの主観でしょといわれると、それもそうか。

うーん。

 

ちょっとそのことについて考えたときに、ベースデュオといえばと、思い出したのがジム・ホールとロン・カーターのAlone Together。

それで比較して聴いてみたんですよ。

これがやっぱり良いですね。

まず定位がいい。

センターのジム・ホールに対してセンターよりの右のロン・カーター。やっぱりデュオならこれくらいがいいんじゃないかな。これはもう完全にエンジニアのセンスの話でミュージシャン全然関係ないんですけどね。

あとロン・カーター特有の腰のないベースがジム・ホールのギターとすごくあってるんですよ。

ギターの下のほうに寄り添う感というか。

ロン・カーターって知名度のわりに異色な人だと自分の中で思っているのですが、ピッチとかも雑だしレイブラウンみたいな音の腰もないし、NHOPみたいな超絶技巧でもなく、でもすごく歌いまわしとか場の雰囲気を作るのがうまい人。こういうのセンスっていうんでしょうかね。

そしてジム・ホールのギターと合わさったときに、なんともいえない素朴感がでてるんですよね。ちょっと2人でやってみた感というか。そんなレベルではないのですが、雰囲気としてはそんな感じ。たぶん前述のオスカー・ピーターソンと2人のベーシストと正反対の感覚です。

ドラムの欠席感ではなく、ギターとベースでちょっと合わせてみた感。

いやただの主観でしょこれ。うーん、そうかも。

でもAloneTogetherの音域の狭さと定位の配置。こもりがちな音の2人のデュオとして感じる、バランスの良さ。

これは実に不思議ですね。普通それぞれの楽器の音は分離していたほうが良い気がするのですが、二つのベースデュオアルバムを聴いてみたときに、定位と音域の分離が激しい前者は聞きづらく、後者は完成度が高くまとまった感じを受ける。

これは非常に不思議ですね。おもしろい。